コロナ禍における文化芸術支援について【令和3年9月】本会議一般質問

 昨年度の総務委員会でも質問をしてきたところですが、文化芸術の価値をどう捉えるのか、そして芸術家をはじめ、それに関係する方々への支援と理解をどう深めていくのかといった課題が、このコロナ禍で改めて見えてきたのではないでしょうか。

 一方で、新たな文化芸術活動の動きも始まっています。人流を抑制する手段として、ICTの活用やテレワークの推進に注目が集まり、全国的にも関連の施設・設備の整備や運用が進んでいるものと認識しておりますが、例えば、オンラインでのコンサートや演劇等の開催及びライブ配信など、舞台芸術の世界においても、そうした需要は高まりつつあります。

 香川県文化芸術振興計画にも記載のある、高度情報化社会の進展と新しいコミュニケーション手段やメディア芸術などの新しい表現に柔軟に対応していく必要性が、コロナ禍においてまさに浮き彫りとなりました。

 ウィズコロナ、アフターコロナにおいては、オンラインサービスの定着化により、会場での実際の公演に加え、その公演が同時配信されるといったサービスが増加していくことも考えられますので、動画配信を目的とした県民ホールの利用や、さらには、個人あるいは少人数での動画配信等を目的とした場合においても、例えば、県民ホールのリハーサル室の利用など、新しいコミュニケーション手段やメディア芸術などの新しい表現を念頭に置いた機能強化や利便性の向上に一層に努め、舞台芸術の振興を後押ししていただければと思っております。

 こうした新たな動きへの対応も含め、コロナ禍において文化芸術活動をしっかりと支援していくためには、冒頭に申し上げた課題に真摯に向き合うことが最も大切だと考えます。

 また、本県には、小さいながら日本のみならず世界で活躍するトップミュージシャンの演奏を聞くことのできるライブハウスやジャズクラブがあります。かつて十九世紀後半から二十世紀初頭に、世界中の芸術家たちが憧れの都パリに集まってきました。芸術家たちの交流を支え、創造の源となる刺激を与える拠点となったのがカフェでした。その時代その時代に、時を同じくして生きた芸術家が切磋琢磨し、夜な夜な議論を交わし、そこからまた新たな文化や芸術が生まれ、受け継がれてきたのです。この日本においても、そのような文化拠点となる場所が存在しますが、今回のコロナ禍で閉店に追い込まれる店も多々ありました。私の知人の多くも、音楽に限らず芸術関係の仕事をしておりますが、この約一年半、国や県からの様々な要請に協力をいただき、ある方は、感染症対策に取り組むため、賛同者を募り、ライブハウス協会をつくるなど、その危機を何とか乗り越えようと、自分たちができるところからということで模索をしながら頑張ってこられました。

 文化芸術は、目に見えずとも私たちの心に寄り添うものであり、生活に潤いを与えてくれ、地域の活性化にもつながります。そして、長くその分野を研究し、修練を重ね、作品やパフォーマンスといった形で提供してくれる人たちは、本当に価値があり、尊敬されるべき存在であると思います。

 しかし、東日本大震災のときもそうでしたが、文化芸術というのは、例えば、何か災害などの緊急事態があったときには、決して比べられるものではないにもかかわらず、命と文化芸術とどっちが大切なんだと言われてしまいがちであり、最初にはじき出され、取り残されてしまうのがこの分野でもあります。

 その一方で、文化は国力の一つ、芸術は生きるために必要であるとして、文化芸術を鑑賞するためのものだけではなく、人々の意識や社会へ働きかけるためのものとして捉えられている欧米諸国では、文化芸術が日常に溶け込み、社会的な価値も高いのです。コロナ禍において、その方々は、公演の中止や延期により、技術や才能を披露する機会や収入を得る手段が奪われました。芸術家が活動できないその時間は、この国にとっても価値ある財産が失われているのと同じであるということを、いま一度理解しなければならないと考えます。

 本県においても、地域で文化芸術活動に取り組む方々の発表の機会や鑑賞の機会が著しく減少することは、県民の皆さんの潤いや生きがいを奪い、地域の文化力や活力の低下にもつながっていく看過できないゆゆしき問題です。

 そこで、このような状況の中、昨年来、文化芸術の支援についてどのように取り組んでこられたのか、知事にお伺いいたします。

 また、今後、どのような思いで文化芸術の振興に取り組んでいかれるおつもりでしょうか。現行の香川県文化芸術振興計画は、来年度が最終の計画期間となることから、今後、改定に向けて取り組まれていくことになると思いますが、長期化するコロナ禍の中で、文化芸術をどのように位置づけ、どのような思いでその振興を図っていかれるのか、知事のお考えをお伺いいたします。

 議員御指摘のとおり、文化芸術は、県民の皆様の生活に潤いを与え、地域の活性化にもつながるもので、長引くコロナ禍の中、その活動を支援することの重要性がますます高まっていると考えております。

 このため、昨年度に、県民ホールの利用料金を助成し舞台公演を促進するとともに、前向きに頑張る事業者を応援する総合補助金により、ライブハウスの配信機材の整備やドライブインシアターの実施などの事業者の積極的な取組を支援したほか、地域の文化芸術団体等の活動を促進する文化芸術振興活動費助成金について、昨年度、今年度ともに大幅に増額いたしました。

 また、県民ホールにおいて、新しい形での舞台鑑賞の機会の提供として、オンラインによるライブ配信ができる環境を新たに整備し、本年八月から利用を開始しております。

 さらに、地方で著しく減少している大規模な魅力ある舞台芸術を県民の皆様に楽しんでいただく機会を確保するため、今年度新たに、大規模な舞台公演の主催者を支援することとし、クラシックコンサートや狂言、漫才ライブなど、様々なジャンルの公演五件について支援することとしたところであります。

 文化芸術の位置づけにつきましては、私は、現行の香川県文化芸術振興計画の冒頭で、故大平総理の田園都市国家構想の報告書から、「国民の文化的欲求は、生きるための基本的な欲求の重要な一部なのであって、それにどう対応するかは行政の避けることのできない本来的な問題である」という言葉を引用しておりますが、まさに、この一節に込められていると捉えております。

 私といたしましては、この言葉の持つ意味が一層大きくなっているコロナ禍において、文化芸術の力で、地域を明るく、元気にしていけるよう、積極的に文化芸術の振興に取り組んでまいりたいと考えております。

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