確かな学力の育成と魅力あふれる県立高校の推進について【令和3年2月本会議 一般質問】

 三月に入り、各地で卒業式が行われています。コロナ禍により、二年続けて卒業式が縮小されておりますが、子供たちにはぜひ、これからも力強く育ってほしいと心から願います。

 さて、そんな子供たちを取り巻く教育環境は、本当に目まぐるしく変化をしています。直近では、コロナ禍の影響でGIGAスクール構想の前倒しが進み、先生方同士でも情報交換や勉強会をしているようですが、特に苦手意識のある先生に関しては、せっかく授業のデータを作成しても、転勤等でパソコンが違う機種になったら、使い方や互換性の問題など、また一からになるのではないかという不安の声もあるようです。また、子供たちは好奇心旺盛ですので、先生の目を盗んでは違う動画を見たりと、新たな課題があるようです。

 また、昨年二月の定例会で質問いたしました英語教育においても、結局何がどう変わったのか、あまり子供の英語力に変化が見られないという保護者の声や、もっと第三者機関をうまくつなげたらどうかなど、もともとあった課題がそのままにあるようにも伺いました。

 そのような中、先日、ある講演会で、「身体的文化資本」という言葉を耳にしました。フランスの社会学者ピエール・ブルデューによって提唱された「文化資本」の中に、礼儀作法、習慣、言葉遣い、センス、美的性など、身体化された形態の文化資本という意味です。私が以前、外国の方から、「あなたの存在自身が文化だよ」と言われ、新しい感覚が生まれたのを覚えていますが、この身体的文化資本の話を聞き、なるほど、海外では既にそのような教育がなされていたのかと腑に落ちました。

 身体的文化資本の本質は、様々な人とうまくやっていく力であり、新指導要領にも出てくる主体的、多様性、協働性は、いずれもこの身体的文化資本に属するものです。そして、これからの大学入試では、そこが求められるようになりつつあります。

 現在、インターネットが普及し、世界中どこにいても、欲しい知識や情報だけでなく、名門大学や有名教授の授業が受けられるようになりました。その結果、大学は、「何を学ぶか」から、「誰と学ぶか」ということに重点を置き、一方的な講義ではなく、ディスカッション型の授業が増えています。文部科学省も、各大学に、授業をできるだけアクティブラーニング化するよう指導しており、大学に入ってから、学びの伸び代や、授業についていく力、潜在的学習能力をはかる試験にするように通達もしています。

 このように、対等な議論ができる力や潜在力の基礎となる一つが身体的文化資本であると言われています。これは、文化的教育の中から培われ、できるだけ幼い頃より、絵画や音楽、食など、様々な本物に触れさせることにより育まれると伺いました。

 しかし、現実は、その多くが都会に集中しており、残念ながら、地方とでは文化的教育においては差があるように思います。これは、私自身も経験し、感じてきたところであります。住んでいる場所によって教育を受けられる環境も情報量もこんなに違うのかと、現実を突きつけられたこともあります。

 もちろん、地方で学んだからこそのよさや、その差をプラスに変えれば、またそれが力となることも承知をしております。しかし、文化的教育におけるこの地域格差を理解し、それを埋める努力はしなければなりません。地方ほど、より一層情報をキャッチし、教育的施策と文化的施策を連携させ、子供たちにはできるだけ多くの本物に触れられる機会をつくり、一人一人の身体的文化資本を育てていく必要があると、その講演でもおっしゃられていました。私も同感です。

 本県の子供たちには、将来、多様な分野において、日本だけでなく世界に羽ばたいてほしいと思います。そのためにも、将来の選択肢を広げ、チャンスを与えられる教育環境をつくることこそが、私たちの務めではないでしょうか。

 以上のような観点も踏まえ、今回は、高校の取組についてお伺いをいたします。

 先ほども申しましたように、大学入試制度改革は、紆余曲折を経ながら進められており、今年度からセンター試験に代わり、共通テストが実施されることとなりました。日本教育新聞に共通テストの出題傾向と指導方法に関する記事が掲載されており、高校教員が分析していました。

 入試制度が変われば、学校における指導方法も変わってくることと思われます。私立高校や都会の学校では、この分析及び対応の取組がしっかり行われているとの話も聞きます。それらの対応が遅れることで、県内の生徒が大学に進学するに当たり、不利な環境となってしまうのではないかと心配になります。もちろん、教育において大学入試が全てではありません。しかし、子供たちの夢の後押しができる環境づくりは必要と考えます。

 そこで、既に取組はなされているところとは思いますが、センター試験から共通テストに変わることに対応して指導方法を変更されていれば、具体的にどのように変更しているのか、お伺いをいたします。

 また、今年度の共通テストの傾向分析も大切になってくると思われますが、それについてはどのように分析され、今後の指導法の改善にどう反映されるのか、併せてお伺いをいたします。

 もう一点、教育委員会の令和三年度の新規事業で、魅力あふれる県立高校推進事業というイノベーション創出力、グローバル社会への対応、郷土への理解や郷土愛に関する教育プログラムの研究開発事業があります。副次的な効果として、共通テストなどで求められている「考える力」の育成につながるところもあると思われますので、事業の実施により開発された教育プログラムの活用により達成しようとしているあるべき高校の姿をどのように考えておられるのか教育長にお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。



 今年度から始まった大学入学共通テストでは、これまで重点が置かれてきた知識・技能よりも、思考力、判断力、表現力を重視するような傾向に変わってきており、読解力や地図やグラフなどのデータ理解力が求められる設問が増え、単純な知識を問う出題が減少したことが特徴だと考えております。

 近年の、いわゆるアクティブ・ラーニングの推進により、現在、学校での授業は、一つのテーマについて生徒が話し合うディスカッションやディベートのような活動が多く取り入れられており、自ら問題を見いだして解決策を考えたり、感性を豊かに働かせながら、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考える学習に取り組んでいます。また、観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめたり、発表したりする活動の充実が必要とされています。このような学習が、大学入学共通テストで求められる力を育成することにもつながると考えております。

 このような中、来年度、新たに、魅力あふれる県立高校推進事業を実施することにしており、県教育委員会がリーディングスクールを指定し、探究的な学びを中心とした教育プログラムの研究開発を行ってまいります。学校が地域の行政機関や企業、大学など多様な機関と連携・協働しながら、生徒自らが社会や身の回りから課題を発見し、解決策を考える学びを通して、思考力、判断力、表現力の育成を促進していきたいと考えております。

 県教育委員会といたしましては、この教育プログラムの普及・活用により、リーディングスクールのみならず全ての高校が、問題を発見し解決する能力や新たに価値を創造する力など、生徒が予測困難な未来を生きていくために必要な資質・能力を育成する場として生徒の学びを支えていけるよう、魅力ある高校づくりに一層取り組んでまいります。

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