認知症対策について【令和3年2月本会議 一般質問】

 人生百年時代と言われる日本において、もはや誰もが認知症になってもおかしくない時代となりました。厚生労働省によると、六十五歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は推計一五%で、二〇一二年時点で約四百六十二万人に上ることが調査で明らかになっています。そして、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には七百三十万人へ増加し、実に五人に一人が認知症を発症すると推計されています。

 また、高齢になるにつれ、認知症の割合は増加し、八十五歳以上では五五%以上の方が認知症になるとも言われています。だからこそ、認知症の方への理解、接し方、そして社会の仕組みをより一層充実させることが大切であると考えます。

 私の地元では、認知症になっても住み慣れた地域で生きがいを持ちながら楽しく安心して暮らし続けるための場所づくりや、認知症の方もそうでない方も、老若男女を問わず世代間交流できる企画もなされています。このような取組は、決して認知症の方が特別ではないということを知るきっかけづくりにもつながり、また、さりげなく支援の手を差し伸べられるような優しい社会づくりの一歩になるように思います。

 今議会に上程されています第八期香川県高齢者保健福祉計画案を見ますと、認知症に対する社会一般のイメージ改善に取り組むとありますが、特に、自分には関係ないと感じているであろう若い世代に向けては、さらなる認知症への関心と理解を深められるよう取り組んでいただきたいと思います。

 そうした中、昨年、期間限定のレストラン「注文を間違える料理店」というプロジェクト作品を目にしました。そのレストランは、オーダーを受けるホールスタッフが全員認知症の方です。注文を間違えるかもしれないけれど、その間違いを受け入れ、むしろそれを一緒に楽しもうというのがこの料理店のコンセプトであり、もし間違えたとしても寛容でいられるような社会受容性を高めていくことを目的としています。

 この新しい価値観を発信するため、二〇一七年六月に企画が始まり、世界最大級のクリエーティブアワードであるカンヌライオンズをはじめ、国内外で様々な賞を受賞され、大反響を呼びました。また、このプロジェクトは全国にも広がりを見せ、令和二年一月、愛媛県の漱石珈琲店「愛松亭」でも初開催されました。

 この作品に出てくる方は、皆、生き生きとしており、本当にほほ笑ましく、もしいつか自分がそうなったとき、あるいは身近で発症した方がいたとき、お互いを認め合い、受け入れ合って、笑顔で支えられる時代になってほしいと感じました。この作品は、認知症のイメージを変えただけではなく、これからの新たな関わり合い方を見せていただいたような気がしました。

 認知症の方が今後も増加すると言われる中で、認知症に対する理解を深め、地域が社会的な受皿となれるような意識啓発は、今後ますます重要性を増してくるのではないかと考えます。

 そこで、先ほど申し上げた認知症に対する社会一般のイメージ改善も踏まえ、県として認知症施策をどのように進められるおつもりか、お伺いをいたします。

 また、関連して、若年性認知症の方への支援についてお伺いをいたします。

 東京都健康長寿医療センターは、昨年七月、六十五歳未満で発症する若年性認知症の方が全国で三万五千七百人に上ると発表しました。前回の調査からは二千百人減少し、その原因としては、少子化により、若い世代そのものが減ったのではないかと分析をしています。このように、有病者数は減少しましたが、十八歳から六十四歳までの人口十万人当たりの有病率は、前回の四十七・六人から若干増加し、五十・九人となりました。

 今回の調査では、アルツハイマー型認知症の割合が最も高く、前頭側頭型認知症の割合も増えました。その背景には、国民の意識が高まったことに加え、変性型認知症に対する医療機関の診断精度の向上が関係しているのではないかともしています。また、生活実態調査の結果からは、多くの方が発症時には就労しているものの、退職を余儀なくされ、その結果、収入が減少し、主な収入源が障害年金や生活保護になっていると示され、雇用や就労に対するますますの理解と支援が課題となっています。

 本人やその家族は、それぞれが、それぞれの立場で悩み苦しんでいます。そのようなとき、寄り添い、共感してくれる人や場所があれば、どれほど救われるでしょうか。

 この十年の間には、支援の環境も広がりを見せており、各地には、地域と当事者やその家族を結ぶ「認知症カフェ」、別名「オレンジカフェ」が設置されるなど、以前に比べては、当事者の社会参加も進んできたように感じます。私も先日、地元で認知症の方が集まる会に参加させていただきましたが、皆さん明るく、直近の出来事を語り合い、自分たちが調べてきた病気について発表し、その笑顔に私のほうが元気をいただいたくらいでした。

 しかし、若年性認知症に対しては、「体は元気で動けるし、働けるんだ」と、治療と仕事の両立の支援を求める声もいただきました。大切なことは、若年性認知症について、まずは正確な理解の周知と、早期発見・早期受診ができる環境づくりだと考えます。

 働き盛りで、家庭のことを考えるとなかなか受診への一歩を踏み出せないのが現実ですが、若年性認知症と診断された後も、支援や保証、ライフプランの提案などがあれば、それが安心に変わり、早期発見・早期受診につなげられると考えられます。また、認知症と診断されたら即退職とならないよう、少しでも本人や御家族の思いを受け入れながら、企業側にも、労働時間の短縮や配置転換など、仕事を続けるための配慮や意識改革、そして、共に働く職場づくりを今まで以上に進める必要があると考えます。

 そこで重要になるのが、家族や本人を支援し、主治医や職場との関係をつなぐ役割とも言える若年性認知症支援コーディネーターの存在です。現在、各都道府県に若年性認知症支援コーディネーターが設置され、医療・福祉・就労に関する支援相談を行うとともに、企業や行政などの関係機関からの相談にも応じ、本県においても平成三十年一月に設置され、活動していると伺いました。

 そこで、本県の若年性認知症コーディネーターの活動状況と併せて、若年性認知症の方に対し、雇用・就労面を含め、県としてどのように支援されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。


 認知症の方やその御家族が地域で自分らしく暮らし続けるためには、地域で生活する全ての人に認知症への理解を深めていただく必要があることから、県では、認知症についての基礎的な知識を持ち、認知症の方や御家族の手助けができる認知症サポーターを、各市町と協力して約十一万人養成しております。特に、若い世代に向けては、小学生を対象に認知症サポーターを養成する宇多津町の取組をモデル事業として支援しており、今後とも、小・中・高校生をはじめ多くの方々の参加する認知症サポーター養成講座の実施等に積極的に取り組んでまいります。

 また、認知症の方への理解をより深めていただくため、昨年十二月に認知症の方二名をかがわ認知症希望大使に委嘱しており、講演会などで、希望や生きがいを持って暮らしている姿を自らの言葉で話していただくなど、当事者が参加した啓発活動にも取り組んでまいります。

 若年性認知症につきましては、その多くは、身体機能の低下が少ない一方、離職等に伴う経済的な影響が大きいなど、特有の課題があることから、平成三十年に配置した若年性認知症支援コーディネーターが、本人や御家族、企業などからの医療、介護、就労等に関する相談に応じるほか、本人・家族の交流会の開催や、経済団体、就労支援機関及び行政機関等に対する研修等を通じた若年性認知症の理解の促進や支援ネットワークの構築などの活動を行っております。

 私といたしましては、認知症になっても、できる限り住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けることができるよう、各市町と連携しながら認知症施策に積極的に取り組んでまいります。

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